不眠の原因と改善方法ーそれぞれの原因に有効な対策とは

人の身体は、日中の活動により脳や体が疲れると睡眠を促す物質が溜まり、睡眠中枢に働きかけ眠くなります。

それとは別に、通常夕方になるとセロトニンがメラトニンになり、どんどん体内にメラトニンが分泌され、そして夜になると眠くなります。

睡眠物質とメラトニンの作用により眠くなる、これが人が眠くなるメカニズムです。

このリズムが狂って、きちんと睡眠時間をとって眠るための環境を整えているのに、布団に入ってから何時間も眠くならない、眠ってもすぐ目が覚めてしまう、朝早く覚醒してしまうなどの症状が続き、睡眠不足のため日中の眠気、体の疲れ、だるさ、ボーッとしてしまうなどの症状があれば、不眠症と言えるでしょう。

眠れない原因として考えられるものは

  1. ストレスによる緊張
  2. 不規則な生活
  3. 年齢による睡眠力の低下
  4. うつ病
  5. 身体的な病気によるもの
  6. 寝酒、寝る前のたばこ、カフェイン

以上があげられます。

ストレスによる緊張

自律神経に交感神経と副交感神経があることをご存知でしょうか?

交感神経は心身を「緊張モード」にする神経です。

一般的に昼間活動している時は交感神経が優位になり、夜にリラックスすると副交感神経が優位になり、眠気が起きます。

交感神経が高まると、心拍数や血圧が上がり、呼吸が速くなり、末梢の血管を収縮するように働きます。

夜寝るまでストレスでイライラしたり考え事をしたりしていると、交感神経が興奮したままとなり、寝つきや睡眠の質も悪くなります。

こうした睡眠不足によって交感神経がしっかり休めていない状態が続くと、朝、疲れが残ってなかなか体が動かなかったり、血行が悪くなって肩こりがひどくなったり、胃腸や内臓の調子も悪くなり、体温を調節する力が落ちて冷えやほてりを感じたりすることもあります。

このまま放っておくと体調がどんどん悪くなりますし、うつになることもあります。

夜には緊張を解いて、交感神経の興奮を鎮めることが快眠へのカギとなります。

お風呂に入ってリラックスしたり、寝る前のルーティーン(入眠儀式)をしたりして、副交感神経を優位にすることを意識しましょう。

寝る時には考え事はご法度という習慣をつけることも大事です。

それでも眠れない時は、思い切って日頃やりたかったことをやってしまいましょう。

「眠らないと、眠らないと」という焦りがかえってストレスになり、眠れなくしているのです。

ここは「寝なくてもいいや」と気持ちを切り替えて、残り食器を洗う、アイロンがけ、衣替え、棚の整理等、日ごろ気になりつつやれなかったことをやってしまいましょう。

スッキリしたところで気持ちがリラックスし、副交感神経が優位になり眠気がやってくるでしょう。

そうなったら眠気を逃がさないようにすぐに布団に入りましょう。

また、眠気をもよおす為に体を疲れさせるのも手です。

午後7時~9時頃は「睡眠禁止帯」と呼ばれる、一時的に体温が高くなって人が眠りにくい時間帯です。

この時間帯に軽い運動を行って疲れを溜めておくとぐっすり眠れます。

「軽い運動」として最適なのは「ウォーキング」です。

例えばその時間に残業して会社から帰るときは一駅前で下車して歩いて帰るとかでもOKです。近所をウォーキング、または家の中でストレッチでもいいでしょう。

注意すべきはこの時間に激しい運動をすると交感神経を優位にしてしまい、寝る時間になってもかえって目が冴える事態になるので、汗だくになるほどの運動はやめましょう。

不規則な生活

ついダラダラと夜遅くまでテレビやゲーム、SNSをしてしまい、翌日は昼近くまで寝ているなんて生活をしている人は要注意です。

人の身体には1日周期でリズムをきざむ「概日(がいじつ)リズム(サーカディアンリズム)」という体内時計が備わっています。

概日リズムはほぼ25時間と1日の24時間より長いので、日光を浴びず、体内時計をリセットせずにそのままにすると時間が後ろにずれていってしまい、昼夜逆転してしまう危険もあります。

快眠のためには、朝は起きたらカーテンを開け朝日を浴び、決まった時間に食事を摂って、日中は活動的に動く、というリズムのある生活を心がけましょう。

夜勤が週に何日かあるという人の場合も、日勤の日に朝日を浴びて体内時計をリセットしましょう。

人間の体内リズムは一度乱れてしまうと元に戻しにくくなってしまいます。

夜勤の日は夜勤前に1~2時間ほど眠り、夜勤中も仮眠が取れれば眠り、オフィスは明るくして、コーヒーなどのカフェインも有効に使いましょう。

夜勤明けにはサングラスをして日光を見ないようにして帰宅し、遮光カーテンをして昼すぎぐらいまで眠りましょう。

夜勤の日は「分割睡眠」を心がけ、体内時計を狂わせないように朝日でのリセットを心がけるのがベストです。

年齢による睡眠力の低下

年齢を重ねると朝早くに目覚めてしまうという声をよく耳にします。

年齢と共にノンレム睡眠が減り、小さな音に目覚めてしまったりして、熟睡感が得られなくなります。

また歳を取ると長時間起きていることが出来なくて早く就寝してしまいがちになり、そうなると起きるのも必然的に早くなるのです。

夜9時頃に寝て朝3時か4時に起きるという高齢者は少なくありません。

その睡眠サイクルで元気に不満がなく生活できていれば結構ですが、睡眠満足感が乏しければ睡眠時間を後ろにずらした方が睡眠の質は格段に向上します。(ホルモンや自律神経の関係上)

引退して日中仕事をする必要がなくなると生活にメリハリがなくなり、日中に何度もウトウト眠り、いつ寝ていつ起きているかの境もわからなくなってくることが多いです。

覚醒と睡眠のメリハリがなくなると内臓もリズムが狂いトラブルをおこしがちになり、脳の動きも鈍りボケやすくなります。

メリハリがなくなると、脳や体が急に衰えてそのまま要介護や寝たきりになる人も多いのです。

ではどうすればいいのか?

午後に30分の昼寝をすることです。

毎日午後、同じ時間に30分眠る。(習慣化するために毎日同じ時間にするといいです)

それだけで夜10時くらいまで覚醒をキープ出来るようになります。

長すぎる昼寝はかえって睡眠のリズムをくずし、ボケるリスクを高めてしまいますので、30分ぐらいに留めて下さい。

昼間のあとの時間はなるべく活発に活動し、夜は10時くらいに寝る。

天気のいい午後は積極的に散歩をするのもいいでしょう。

つまり毎日のスケジュールにがっちり昼寝を組み込み、メリハリのある活動的な生活をすることが快眠、ひいては健康長寿につながるのです。

若い時のように長時間深い睡眠をとるのは難しいですが、6時間でも覚醒せずにしっかり眠ると睡眠満足感が得られますよ。

うつ病

うつ病は心の病ですが、誰でもかかる可能性のある病気です。

まじめで几帳面な人がかかりやすいとされ、日本国内の調査では、約13人に1人が生涯のうちに経験するといわれています。

原因は仕事や私生活のストレス、離婚や死別などの悲しい体験、病気などの苦しい出来事、冬の日照不足、栄養不足など、さまざまです。

不眠からうつ病になる人が非常に多いという、不眠症になった人の追跡データもあります。

「眠れない」というストレスが心身を消耗させ、結果神経伝達物質の「セロトニン」や「ノルアドレナリン」が十分に機能しなくなくなり、感情をうまくコントロール出来なってうつになると考えられます。

「気分が滅入る」、「何もやる気がしない」、「周囲のことに興味を無くす」「悪い方にばかり考える、イライラが募る」など、心理的な症状と、「不眠」「疲労、倦怠感」「食欲低下」「下痢、便秘」「肩のこりや背中の痛み」など、体に症状が出ることもあります。

・・・うつ病、適応障害、パニック障害の人たちは9割以上が「眠れない」という悩みを抱えていた。彼らの足の裏を見ているうちに、今枝さんはあることに気づいたという。「不眠を訴える人たちの足の裏は全員硬く、冷たく、指が縮こまっている。それがリフレクソロジーによって足裏の状態が改善されるにつれて、寝つきがよくなったり、中途覚醒が減ったり、睡眠状態も改善される人たちが多かったんです。」引用:不眠症患者も改善! 1日1分の足裏マッサージ法

うつは栄養不足が原因の時もあります。

ストレスに負けない脳を作るためにはタンパク質(肉類、魚類、卵などの動物性)、鉄(レバー、パセリ、牛肉など)、ビタミンB群(レバー類、豚肉、玄米など)を毎日、充分摂取することが大切です。(『脳から「うつ」が消える食事』参照)

食事で必要量を摂るのは大変なので、サプリメントを利用するのも一つの手です。

なお、何もする気がおきない程重症な場合は、精神科を受診されることをお勧めします。

又、自己判断で不眠薬を服用するとうつ症状が悪化する例もありますので、くれぐれも自己判断での薬の乱用は避けましょう。

身体的な病気

身体的に不快な症状があって眠れないという方は、こちらの症状にあてはまらないでしょうか?

これ以外の身体的症状で不眠にお悩みの方は、1度病院で診察を受けられることをお勧めします。

現在は医師の処方箋がなくても薬局で睡眠薬が販売されていますが、睡眠薬は一過性の不眠には有効ですが、慢性の不眠症などで連日服用すると効果が薄れると言われています。

タバコ、カフェイン、お酒

タバコ

タバコに含まれるニコチンは比較的強い覚醒作用があり、喫煙者の睡眠は非喫煙者の睡眠に比べて浅い睡眠が多く、深い睡眠が少ないことが脳波の研究結果で明らかになっています。

また、喫煙は老化や活性酸素の発生源であり、ストレス対抗に欠かせない栄養素であるビタミンCを大量に消費してしまいます。

ホッとするはずで吸ったタバコは実は交感神経を刺激して、かえってストレスを増やしているのです。

快眠の為にはなるべく本数を減らし、ビタミンCをこまめに補給するようにしましょう。

カフェイン

コーヒーやチョコレート、栄養ドリンクにも含まれているカフェインも、覚醒作用により睡眠の質を悪くします。

カフェインは眠気を引き起こす睡眠物質「アデノシン」の神経を鎮静させる働きを阻害することで眠気を覚まします。

この効果が半減するには個人差がありますが、夕方4時以降はカフェインの摂取は控えた方がよさそうです。

なお、カフェインを摂取しすぎると中枢神経が過剰に刺激され、イライラやめまい、動悸やふるえ、胃痛、吐き気などの症状が出ることも。

カフェインの摂りすぎはカフェイン中毒になる危険もありますので気を付けましょう。

お酒

「寝酒ならいいのでは?」と思いがちですが、アルコールも睡眠の質を悪くする上に利尿作用によって何度も覚醒してしまいますので、快眠の為にはこちらも飲む量を自制しましょう。

また、アルコールが代謝される時にはビタミンB1、葉酸、ナイアシン、亜鉛というミネラルが失われます。

葉酸が不足すると脳内ホルモンであるノルアドレナリンやセロトニンの合成が出来ず、うつ症状や睡眠障害が出てきます。

また、ナイアシンが不足すると、脳内ホルモンのバランスが崩れて、やはり精神が不安定になります。

お酒を飲んだ翌朝に頭が痛くなるのはビタミンB群が大量に使われてカラカラ状態に陥っているからなのです。

お酒を飲まなくてはいけない時は、失われた栄養素をサプリメントでしっかり補給をしましょう。

総括

ストレスから眠れなくなった経験、誰でもありますよね。

原因そのものを解決しないと眠れないものですが、解決にベストを尽くしたら、寝るときは考えないという割り切りが必要な時もあります。

ストレス解消にタバコやカフェインやアルコールに走るとますます眠れなくなります。

また、ニコチンやカフェインやアルコールは依存性があり、摂りすぎると健康を害しますので、依存しない程度にしましょう。

ちなみに管理人の場合ですが、20数年間吸っていたタバコを自力でやめました。

ストレスでずっとやめられなかったのですが、ある日思いつめることをやめて「私には無理!」とある意味悩みを投げ出したら、気が楽になってやめられました。眠れるようにもなりました。

真面目な人ほどうつになりやすいのは、真面目ゆえに悩みを抱え込んでそこから逃げられないからかもしれません。悩みが深いほどタバコもやめられない気がします。

睡眠は脳を休める最初の深い眠りが重要です。

その深い眠りは眠りはじめの大体3時間。

それ以降は何度も覚醒してしまって朝までぐっすり眠れないという方は、そんなに気にしなくても大丈夫です。

最初の深い睡眠の3時間が熟睡できていれば、それ以降覚醒があっても大人なら健康に影響はないでしょう。

色々試しても結果的に朝までぐっすり眠れない時は、年齢的なものでしたらある程度仕方ないのかもしれません。

「どうしても7時間ぐっすり眠らねばいけない」と気負うと神経が休まらず、かえってストレスになってしまいます。

朝日をしっかり浴び体内時計を合わせ、適度に運動、バランスのとれた食事をとって、意識してストレスをためないようにしましょう。

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